あらすじ
194*年4月、アルジェリアのオラン市に突如発生した死の伝染病ペスト。病床や埋葬地は不足、市境は封鎖され、人々は恋人や家族と離れた生活を強いられる。一方、リュー医師ら有志の市民は保健隊を結成し、事態の収拾に奔走するが……。不条理下の人間の心理や行動を恐るべき洞察力で描いた、ノーベル賞作家カミュの代表作。(Amazonより)
惹かれた文
たとえ間接的であるにしろ、善意から出たことであるにしろ、自分が人殺しの側に回っていたことが、僕は死ぬほど恥ずかしかった。
たえず警戒していなければ、ちょっと気を弛めただけで、他の人の顔に息を吹きかけて、病気を感染させてしまうなんてことになりかねない。
ペスト患者であるのはひどく疲れることだ。しかし、ペスト患者になりたくないと望むことは、さらにもっと疲れることなんだ。
感想
レポートのような文章が続いて淡々と進む。
そんな中、終盤のタルーの告白に衝撃を受ける。
他人を傷つけるような人間はペストだ。
と、指摘された気がして目が覚めた。
自分にとって恥ずかしくない生き方を問われる小説だった。